【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
美乃梨さんその言葉に俺は、紅音という素晴らしい人間の強さみたいなのを感じた気がした。
自分の命を犠牲にしても、小さな子供の命を守った。……それは確かに、普通の人じゃ出来ないことだ。
「……紅音さんは、きっと大丈夫です。だってうちの夫は、とても素晴らしい救命医ですから。……必ず、紅音さんのことを助けてくれます。だから信じてください。うちの夫を」
「……はい。 ありがとう、美乃梨さん」
美乃梨さんの力強い言葉のおかげで、俺は少しだけ救われた気がした。
手術は5時間にも及んだ。手術室から出てきた加古川は、真っ先に俺の方にきた。
「加古川……!紅音は!?」
「紅音さんは一命を取り留めたよ。……よく頑張ったな」
「……よかった」
「手術した後で今は脳が腫れているが、後ニ、三日すれば腫れも引くと思うから。……もう、大丈夫だ」
加古川の言葉で、俺は紅音のことを思って初めて泣いた。こんなにも涙が出るのかっていうくらい、泣いた。
紅音のことを思ってこんなに泣けるなんて、相当愛しているということなんだな……。
「紅音さんは、これからICUで様子を見るから」