【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 加古川先生はそう言うと、ちょうど入ってきた看護師さんに「採血と検温頼む。後、点滴変えといていくれ」と言ってそのまま微笑んで病室から出ていった。

「小田原さん、採血しますね」

「はい」

「どうですか?体、痛い所とかありませんか?」

 看護師さんは採血しながらそう問いかけてきたので、わたしは「今の所、大丈夫です」と答えた。

「何かあったら、いつでも言ってくださいね?」

「ありがとうございます」

 採血が終わり「検温しますね」とおでこに体温計を当てて体温を計る。

「まだ少し、微熱がありますね」

「……はい」

「解熱剤、投与しておきますね」

「ありがとうございます」

 看護師は解熱剤を投与した後、そのまま「じゃあ何かあったら呼んでください」と言って病室から出ていった。

「体、大丈夫そうか?」

 病室に戻ってきた爽太さんは、わたしにそう問いかけてきた。

「はい。大丈夫です」

「あまり無理はするなよ?」
 
「分かってます。……もう無理はしません」

 こんなにも心配してくれる人がいるって、本当に幸せなことなんだなって、改めて思った。
< 52 / 208 >

この作品をシェア

pagetop