【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 それから何日かして、わたしはCTやMRIなどを取り異常なしと判断され、1週間ほどで退院した。

「退院、おめでとう」

 病院の入口で、加古川先生と奥様の美乃里さんが、見送ってくれた。
 
「ありがとうございます。……色々とお世話に、なりました」

「これからも、何かあったらいつでも来てください」

「退院、おめでとうございます」

 美乃梨さんからも言葉をもらったわたしは「ありがとうございます」と言葉を返した。

「加古川、本当にありがとう。……美乃梨さんも、あの時はありがとう」

「また何かあったら、連絡してくれ」

「ああ。……行こうか、紅音」

「はい」

 わたしたちは、二人に改めてお礼をしてタクシーに乗り込み、自宅へと帰宅した。

「ただいま」

「おかえり」

 一週間ぶりの自宅は、とても懐かしい感じがした。ディフューザーのいい香りが漂うリビングに来ると、帰ってきたんだなって思う。
 その時、後ろからギュッと爽太さんが抱きしめてきた。 

「……え?」

「寂しかったよ、紅音がいなくて」

 そう言われたわたしは、「爽太さん……?」と問いかけた。
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