【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「……お前がいなくなったらって思ったら、たまらなく不安になった。 お前がこんなにそばにいないだけで、こんなにも不安なるなんて……。思わなかった」

 そう言われたわたしを、爽太さんはより強く抱きしめる。

「爽太さん……」

「紅音……」

 わたしたちは少し見つめ合って、そして爽太さんからキスをしてくれた。
 わたしはそっと目を閉じて、自分から爽太さんの首に手を回した。

「……爽太さん、好き」

 この関係でいられるのも、後1年しかない。後1年しか、ないんだよね……。
 後1年で、わたしたちは離婚して夫婦としての役目を終える。……それまでは、この幸せを噛み締めていたい。 
 
 夫婦として生活していく中で、わたしはもう止められないくらい爽太さんのことを好きになっている。
 実際にこうなってみて、さらにその想いが強くなっていくのが分かった。

「……わたし、ずっと一緒にいたい」

「……紅音?」

「ずっとずっと、爽太さんと一緒にいたいです」

 そうやって気持ちを伝えるのは、いつも怖い。……だけど言わないまま後悔したくない。
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