【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
⑦勇気の賜物(たまもの)
「紅音。体、大丈夫か?……傷、まだ傷むか?」
甘く抱き合った後、その姿のまま抱き締められわたしの頬を撫でながら、そう問いかけてきた。
「……いえ、大丈夫です」
傷のある所には、なるべく触れないように抱いてくれたから、大丈夫。
看護師さんも、毎日ケガしている部分を消毒して優しくケアしてくれたし。
「そうか。 後で絆創膏、貼り替えないとな?」
「はい」
わたしは爽太さんに笑みを向けると、爽太さんは「……疲れたろ?もう休むといい」と言って布団をかけてくれた。
「……ありがとうございます。爽太さん」
「おやすみ、紅音」
「おやすみ、なさい……」
わたしはそのまま、眠りについた。
「……紅音、起きた?」
「爽太さん……。はい、起きました」
目が覚めたのは、夜19時くらいだった。
「おはようじゃないけど、おはよう」
ジョークを交えながらそんなふうに言ってきた爽太さんに、思わずちょっと笑ってしまった。
「おはようって言っても、もう夜ですね」
「夕飯つくったけど、食えるか?」
「え、作ってくれたんですか?」
寝ている間に、夕飯まで……。