【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「ありがとうございます。……じゃあ、いただきます」

 お味噌汁を一口食べると、わかめの風味が広がってとても美味しかった。味付けもちょうどよくて、食べやすかった。
 
「美味しい……」

「本当?良かった」

 だし巻き卵もお出汁がきいていて、フワッとしていて、優しい味付けだった。こういうのをお袋の味って言うのかな、なんて思ってみたりした。
 優しい味付けで、心までもほっこりした。

「全部美味しいです。……これを全部わたしのために作ってくれたのかなって思うと、すごく嬉しいです」

「そんな、大袈裟だよ」

 なんて爽太さんは笑っていたけれど、爽太さんもなんだかんだ嬉しそうに笑っていた。

「……大袈裟なんかじゃないですよ」

「え?」

「わたしは爽太さんと夫婦になって、初めてこんなにも色んな感情が出るんだなって知りました。 今までの自分では気づけなかった感情が、こんなにもあることを、わたしは爽太さんから教えてもらったんです。……それはわたしにとって、大きな変化だし、誰かを大切にしたいっていう気持ちがこんなにも素晴らしいことなんだっていうのを、わたしは爽太さんから教えてもらった」
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