【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
【ずっとお前のそばにいる】
その言葉は、わたしにとって時々、残酷にも聞こえる。
あと1年しか夫婦でしかいられないからこそ、わたしにはその言葉が残酷に聞こえるのだ。
「……紅音、どうした?」
「え?……あ、いえ。今日のご飯、本当に美味しいなって思って」
そんな風に誤魔化してしまうけど、本当はずっと一緒にいたい。……一緒に、いたい。
「ゆっくり食べればいいから」
「はい。ありがとうございます」
美味しい夕食を食べながら、色んな話をした。
「紅音が入院してるって言ったら、弟も妹も慌てて病院に駆け付けてきてくれたんだ」
「え、そうなんですか?」
「ああ。妹もびっくりしてたし、弟は仕事を一旦中断して来てくれたんだ。……お前のこと、本当に心配してたんだぞ?二人とも」
「……ありがたいです」
そう思ってくれていたことを知って、とても嬉しかった。
わたしはずっと、これからも爽太さんの家族にも、こうして心配してもらえるのかな……。
「紅音は俺たちにとって、特別な存在なんだよ。……特別な、存在。俺たちはもう、家族なんだから」
「……家族」