【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
爽太さんは結婚した時からずっと、わたしに優しい。 だけど優しくされる度に、わたしは時々辛くなる。
だって後1年しか、夫婦として一緒にいられないのだから。
期間限定夫婦のわたしたちは、子供を作ることもない。結婚式も挙げない。そして何より、新婚旅行にも行かない。
そんな夫婦、本当に夫婦と言えるのだろうか……。
「紅音、風呂出たら絆創膏、取り替えようか」
「あ、はい」
こうして夫婦になっても、この愛は永遠じゃない。後1年後には、なくなってしまうもの。
せめて離婚するまでは、夫婦としての役目をきちんと果たしたい。……ちゃんとわたしがいい妻だったと言ってもらえるように、きちんと妻として頑張りたい。
その後一週間ぶりに、お風呂に入った。病院では傷口をガーゼで塞がれていたため、看護師さんから体を拭いてもらったりしていたので、まともにお風呂に入ってなかった。
一週間ぶりのお風呂は、とても気持ちよかった。心地よい温度で、すごくゆっくりと出来た気がした。
「お風呂、出ました」
「分かった。すぐに絆創膏貼り替えるから、待っててな」
爽太さんは優しい声でそう言ってくれた。