【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「ありがとうございます」
ベッドに座り、爽太さんから絆創膏を貼り替えてもらう。
その爽太さんの手に体を触れられると、妙にドキドキする。思わず震えそうになる。
「っ……」
ガーゼを剥がされる時、少しだけ皮膚に痛みを感じる。
「悪い。痛かったか?」
と聞いてくる爽太さんの顔は、少しだけ不安そうだった。
「いえ、大丈夫です」
「痛かったら、言ってくれよ」
「はい」
ガーゼを剥して新しい絆創膏を貼ってくれる爽太さんのその手は、優しかった。温かくて、心地よい。
「ほら、出来た」
「ありがとうございます」
「次は左腕だな。……絆創膏、剥がすぞ?」
「お願いします」
同じように左腕の傷口に貼ってある絆創膏も剝がしてもらい、新しいものに貼り替えてもらった。
痛々しい傷口を見られるなんて恥ずかしくて、情けないけれど、仕方ない。
「この傷口は、紅音の勇気の賜物(たまもの)だな」
と、絆創膏を貼りながら爽太さんは言った。
「……え?」
「紅音が勇気を出したから、あの子は助かった訳だろ? これは紅音の、その勇気ある行動の賜物だな」