【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
⑧期間限定夫婦の真実
爽太さんはそう言って、わたしに笑ってくれた。
「……ありがとうございます」
「だけど無茶し過ぎだ。死んだらどうする気だったんだ?」
と爽太さんから聞かれて、わたしは「……無意識でした」と答えた。
「無意識?」
「はい。……あの子を助けなくちゃっていう、なんていうか、使命感みたいなものを感じて……。そしたら、気付いたらそのまま走っていました」
爽太さんは絆創膏を整えながら、「そっか」とだけ答えた。
「……すみませんでした、爽太さん」
「もう過ぎたことだ。気にするな。……だけどこれからはもう、無茶だけはするな。いいな?」
そう問いかけられたわたしは、「はい」と一言だけ答えた。
「出来たぞ、服着ていいぞ?」
「ありがとうございます」
絆創膏を貼り終えてパジャマを着たわたし。ふと爽太さんに視線を向けると、爽太さんは救急箱に絆創膏や消毒液などを片付けていた。
「……あの、爽太さん」
「ん?」
「わたし、爽太さんがもしいなくなったらって考えると……。きっと不安で耐えきれないかもって思いました」
「……紅音」