【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。



 爽太さんはそう言って俯いていた。

「……爽太さん」

「分かっている。俺は君を利用したことに変わりはない。……こんな期間限定の結婚にさせてしまったこと、反省している」

 そんなこと、ない……。そんなこと、ないのに……。
 わたしは利用されたなんて思ってない。思ったこともないのに……。

「そんなことないです。利用されたなんて、思ってません」

「……紅音?」

 わたしは爽太さんに向かって、力強くそう言った。

「そんなこと、言わないでください。……わたしはあなたの妻になれたことを、嬉しく思っています。それに期間限定の夫婦だとしても、わたしの爽太さんに対する愛は、ずっと変わりません。……これからもずっと、変わることはありません。あなたと離婚したとしても、わたしはずっとあなたのことっ……」

 その言葉の途中で、爽太さんから唇を重ねられてしまい、言葉を遮られてしまった。

「んっ、爽太さっ……」

 ベッドに押し倒されて、そのまま深く唇を重ねられる。

「……爽太、さん?どうしたんですか……?」

「それ以上言ったら、後戻り出来なくなるだろ?」
< 70 / 208 >

この作品をシェア

pagetop