【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
爽太さんと離婚したとしても、わたしはずっと沙和さんの夢を応援する。沙和さんの夢がいつか叶ったら、わたしはきっと嬉しくて泣いてしまうかもしれない。
食事を終えて一旦、爽太さんは仕事を電話をすると言ってリビングから出ていった。
「紅音さん、あなたは本当にいい人ね」
「……え?」
その時、お母様がそんなことをいってきた。
「あなたに出会ってから、爽太はよく笑うようになったと思うわ。……あなたに出会えたから、かしらね?」
お母様にそう言われたわたしは、お母様の方に視線を向ける。
「……そんな。わたしは、何も……」
何もしていない。むしろわたしのほうが爽太さんに助けられてばかりで、申し訳ないくらいなのに……。
わたしは爽太さんにまだ、何も恩返しが出来ていない。
「いいえ、あなたのおかげよ。あなたがいてくれるから、爽太は変われたのよ。……本当に、ありがとう紅音さん」
「……いえ。わたしのほうこそ、皆さんに助けられてばかりで……。申し訳ないです」
わたしがそう言うとお母様は、「そんなことないわよ」と優しく言ってくれた。