【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「だって紅音さん、あなたは家族だもの。手を取り合うのは、必要なことじゃない?」
「……家族」
わたしは家族というものが、よく分からない。だけどこうやって今分かるのは、家族と言うのは暖かいものだってことだ。
わたしには今までに感じたことのない、そんな愛のあふれる言葉たちだった。
「そう、あなたは小田原家の家族よ」
小田原家の家族として思ってくれているのなら、わたしはずっと小田原家の家族としてこうして色んな話をしたい。
こうやって悩みを打ち明けあったりしたし、たくさん笑い合いたい。
「……わたし、爽太さんと家族になりたいです」
「え?」
「……ちゃんと爽太さんと、家族になりたいって。わたし、そう思います」
その言葉は、わたしの一つの決意でもあった。爽太さんとちゃんと家族になるために、分かり合いたい。
そして家族としてちゃんと向き合いたい。
「……紅音さん。あなた、もしかしてーーー」
お母様の言いたい言葉を、わたしはすぐに理解した。……だけどお母様は、敢えて何も言わなかった。
それはきっと、お母様なりの優しさなのかもしれない。