【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「さ、掃除機は帰ってから掛けよう。まだ充電してないから、使えないしな」

「そうですね」

「紅音、少し出掛けないか?」

 爽太さんは突然、明るくそう言い出した。

「……え?」

「ほら、加古川の嫁に最近子供が産まれただろ?それで、遊びに来ないかって」

 加古川さんの奥さん、確か美乃里さん……。
 そっか。美乃里さん、赤ちゃん産まれたんだっけ……。

「はい。行きたいです」

「よし、じゃあ準備しようか」

「はい」

 わたしたちは加古川先生のお家に出向くために、身支度を始めた。

「紅音、準備出来たか?」

「はい。お待たせしました」

 身支度を終えたわたしたちは、そのまま加古川先生のお家へと出かけた。

「……え? こ、ここ、ですか?」

「そうだ」

 マジですか……。加古川先生のお家、すごく大きくない? むしろもう、家っていうよりも屋敷なんですけど……。
 目の前に広がるのは、大きな屋敷だ。門はとても広くて、屋敷の中にはプールや中庭まである。

「お、大きすぎる……」

「まぁ加古川の両親は、加古川財閥の社長だからな。大体想像はつく」
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