【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 爽太さんはわたしの頭を撫でると、寝室の扉をそっと締めた。

「……ありがとう、爽太さん」

 爽太さんがわたしの夫で、本当に良かった……。

「……はぁ。頭痛い……」

 熱があるせいか、頭が痛い。意識もボッーとする……。
 それから数分後、爽太さんはお盆に温めた雑炊を乗せて持ってきてくれた。

「紅音、お待たせ」

「ありがとうございます……」

 わたしは体を起こすと、爽太さんが「紅音、無理して食べなくていいから。食べれるだけ食べろ」と言ってくれた。

「はい。……いただきます」

 わたしは手を合わせて、爽太さんの作ってくれた雑炊に手を付けた。

「熱いから、フーフーしてやるよ」

「え、い、いいです……!」

 目の前でフーフーなんて、恥ずかしすぎる……!

「いいから。熱いから」

 そんなわたしの恥ずかしさも気にも止めず、爽太さんは雑炊をフーフーした。

「ほら、アーンして」

「え……!?」

 アーンするの……?恥ずかしい……!

「ほら、アーン」

「……っ、アーン」

 恥ずかしさを捨てて、口を開けた。

「はい。よく出来ました」
< 99 / 208 >

この作品をシェア

pagetop