鬼は妻を狂おしく愛す

【とても心配症な人かな？
でも、とてもカッコよくて、優しくて、素敵な人だよ】
亜希に伝えた。
【そう。今度、会わせてね】
【もちろん】
微笑んだ、美来だった。

イタ飯屋に移動して、ゆっくり食事をする。
ちなみに犬飼は、近くの席に一人で座りコーヒーを飲んで周りを警戒している。

他の数人の部下達も、店の周りを警戒していた。

｢あれ～？美来？｣
突然、美来の肩を叩いて来た男。
すかさず犬飼がその男の手を掴んだ。
｢お前、何者？美来さんに何の用？｣
振り返った美来。

その男の存在に気づき、慌てて犬飼を止めた。
【犬飼さん、大丈夫です！
この人、知り合いです】
｢そうなんですね。わかりました｣
そこで犬飼は手を離した。
男の手は、真っ赤になっていてどれ程強く握られていたかわかる。

【大丈夫？謙吾くん】
｢あぁ…それより、コイツ誰？彼氏？｣
【うーん。付き添いの方かな？
詳しくはいえないの。でも、私を守ってくれてる人だよ】
｢ふーん。でも、久しぶりの美来だ。元気？｣
【うん】
｢謙吾、美来は今私達と食事中なの。邪魔しないでよ！｣
｢いいじゃん！俺も仲間に入れてよ！｣
｢はぁぁ？嫌よ！｣
｢美来、俺も一緒にここで食べていい？｣
【みんながいいなら】
｢じゃあ…いいよな｣
｢私、いいって言ってない！｣
謙吾と亜希は喧嘩仲間のような関係で、亜希は謙吾がいるのを嫌がる。
謙吾がいると…………
｢美来、今何してるの？｣だの｢相変わらず可愛いなぁ｣
だの、間髪を入れずに話しかけ、自分は全く美来と話せなくなるからだ。

謙吾は美来の元彼で、いつも美来にくっついていた。