鬼は妻を狂おしく愛す
「美来」
頭を横に振る、美来。

「まさか、俺から離れないよな!?」
怯えた目で雅空を見つめ、尚も頭を横に振る。

「放さないからな」
「………」
「俺は、美来がいないと生きていけないんだから」
「………」
「幸せになれないんだから」
「………」
「ほらっ!いつもみたいにその可愛い手を動かして“雅空、愛してる”って伝えてきてよ!」
頭を振りながら、涙が溢れてくる美来。

「そっか。
じゃあ……監禁だね。
もう二度と、ここから外に出さないよ。
俺以外誰にも会わせずに、誰の目にも触れさせない」


【違うの!!!】
「え……!?」

【雅空のこと、最低だって思う】
「うん」

【逃げたいって思うこともあったよ】
「うん」

【でも、離れない】
「うん」

【愛してるの!
私だって、雅空がいないと生きていけないの】
「うん」

【だから】
「ん?」

【放さないで】

雅空に力強く抱き締められた美来。
雅空の服を握りしめた。



私の主人は、穏やかで優しい。
そして、愛が重たくて嫉妬深く、怖い。

冷酷で最低な人間だ。

それでも私は、彼と一緒にいたい━━━


だって、お互いに生きていけないのだから━━━━







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