あの夏、わたしはキミに恋をした。
「そろそろはじめるぞー!」
上野くんの声が響いた。
練習再開だ。
「大輝、頑張って」
「おう」
何度大輝に「頑張れ」と口にしただろう。
大輝は十分頑張っているのに。
でもそれでも頑張れと口にしてしまうのは、大輝もその言葉が欲しそうにみえるから。
誰かに応援されることで鼓舞しているように思えるから。
だから大輝がいらないというまでわたしは口にするだろう。
「がんばれ」という4文字を。