あの夏、わたしはキミに恋をした。


「みぃちゃーん」

「みぃー」

名前を呼ぶとみぃちゃんは返事をするように鳴いてくれた。

「めっちゃかわいい!!」

「でしょう?」

春休みになった。

遥が冬休みに飼い始めたという猫ちゃんをみにいきたいと思いながらずっとこれておれず、やっと今日くることができた。

「癒しだね、こんなにかわいい猫ちゃんがいたら毎日急いで帰っちゃうわけだ」

「そうなの」

3学期に入ってからどおりで帰るスピードがはやくなったと思っていた。

前まではわたしが部活に向かうより全然あとに帰っていたらしいし、部活が休みの日なんてだらだらと喋って先生に怒られるまで教室にいたのに、今ではわたしが部活に向かうよりも早く、教室にいる誰よりも早くさっと帰る遥はなにかに追われているようにもみえたけど。

今日みぃちゃんに会ってその理由がわかった。


「最近じゃ巧よりもみぃちゃんだもん」

「それじゃ巧くんかわいそうじゃん」

「はは、でも巧も同じく溺愛してるから」

なんとなくその姿は容易に想像できた。
巧くんは遥のことを溺愛しているから、その遥が溺愛しているみぃちゃんのことももちろん溺愛しているのだろう。

みぃちゃんをなでると毛がもふもふしてやわらかい。

そしてあたたかい。いつまでも撫でていたくなる。
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