あの夏、わたしはキミに恋をした。
そのまま8回裏、9回表は譲らずで、9回裏がやってきた。
ここで点をとれなければ敗退。
今までの試合の中でも一番緊張感が伝わりピリピリとした雰囲気だ。
「ホームランを打たなくてもいい、ただ次の人につなぐ気持ちでいけ」
そんな監督の言葉に押された選手たち。
スタンドの盛り上がりも今までで一番すごい。
「キャプテン、信じてるよ」
2アウト2塁、ここでチャンスをつなげばまだ2点とれる道はある。
それにホームランを打てば逆転サヨナラだってありえる。
「おう、そこでみててくれ」
「上野くん…」
「まかせて、必ず打つから」
打席はキャプテンである上野くんにまわってきた。
今までこのチーム、部員たちを支えてきてくれた上野くん。
マネージャーであるわたしのことまで気にかけてくれた上野くん。
きっと上野くんなら打ってくれる。