あの夏、わたしはキミに恋をした。
「わたしも、遥と今日打合せだったの。聞いた?上野くんのこと」
「聞いたよ。上野も結婚か。俺たちもう28だもんな」
「そうだね」
思ったより普通に会話ができた。
10年という月日が流れても、わたしたちの関係性は変わらずにいれたのだろうか。
「…でもなんで?遥と連絡とっているの?あの日以来誰も連絡とれないって聞いたけど…」
誰も大輝の行き先を知らなかったし、連絡先も変えていて連絡がとれなかった。
それなのにどうして遥は大輝の連絡先を知っているんだろう。
「いろんな情報源を伝って俺にたどりついたっていってたな。ずっと探してくれていたらしくて」
高校生のころから遥の情報網はすごかったけど、まさかずっと大輝を探してくれていたなんて知らなかった。