あの夏、わたしはキミに恋をした。
*
「わたしはね、自分を捨てたの。ううん。捨てるしかなかった。そうしないと誰もいなくなっちゃうと思ったから」
悔しかった。情けなかった。
結局わたしだって自分を守ったのだから。
「ごめん」
大輝はわたしの話をずっと聞いてくれた。
なにもいわずただじっと。
「なんで大輝が謝るの?」
「さっきひどいこといった」
「全然気にしてないよ」
「でも」
「それよりもね、わたしは大輝にやっぱり夢を追いかけてほしいって思うから。わたしは弱かった。あそこまで同級生や先輩にいわれてでも、夢を諦めるべきじゃなかった。ずっと後悔しか残ってないんだ。なんでまわりにいわれたからって夢を諦めないといけないの?なんで自分が今まで積み上げてきたものを簡単に手離さなきゃいけないの?ってあのときからいまでもずっと思ってる」
「桃菜…」