あの夏、わたしはキミに恋をした。
「水上、お前は特別なメニューを組んである。はじめは慣らすことも大事だ。ほかのやつらと同じようにできないことを考えることはない。お前のペースでやれ。絶対に無理をするなよ」
「はい、わかってます」
先生はそういってファイルを大輝に渡した。
「これって」
「俺だけじゃない。あいつらがお前のためにって色々調べてまとめたやつだ。感謝しろよ」
もう練習をしているほかの部員たちのほうをみながらそういった先生はそのあとすぐに「木下ちょっといいか」とわたしを呼んだ。
大輝はというともう一度みんなのほうに一礼してファイルを大事そうにぎゅっと抱きしめたあとその場に座った。
ストレッチをするつもりらしい。