最低なのに恋をした
「はぁ!?」
私の一年上の先輩であり親友の伊藤唯が突拍子のない声を上げた。
会社の更衣室で彼氏に振られたらしいという事を伝えた。定時を1時間以上も過ぎているため、私達の他に人はいない。
「お昼休みに話したいことがあるって呼び出されたのって、それ?」
唯さんの表情と口調がキツくなった。
私はコクリと頷いた。
「気づかなかったんです。浮気されてたって。ていうか、私が浮気相手だって。」
自分でも驚くほど淡々と話せている。他人事のような感覚だった。
「仕事中、キツかったでしょ」
唯さんが優しく私の背中をなでる。その手がとても温かくて、まるで私に生気を吹き込んでくれているようだった。
遠田の事もあのおしぼりの男性の事も、頭の片隅に追いやり目の前の仕事に没頭した。
「美月は何も悪くないんだから。だからそんな最低な男の事は忘れよう」
私の背中をさする唯さんの手に力がこもる。
「はい」
唯さんの手から温もりが私のヒンヤリとした心を溶かしていくように、私の目頭が熱くなる。
先程まで他人事のように感じていた昼間の出来事が、ようやく自分の身に起きたことなんだと現実に引き戻してくれているような。つらい、けど優しい温もり。
「ありがとうございます」
鼻がツーンとしてきた。涙と鼻水が出そうになるのをギュッと目頭に力を入れてこらえる。
唯さんは労わるような、それでいて私の代わりに怒ってくれてるようなそんな目で私を見ている。
「唯さんが彼氏だったらよかったのに」
そう言って思わず笑った。
「だよね、私は優しいもん」
唯さんも優しく笑う。
人に話を聞いてもらうと心が軽くなるとはよく言ったもので。
私はお昼に振られてからもそれを現実として受け止められなかったようだ。
だから、唯さんに淡々と話すことができた。
でも、振られたことは現実で。
そんな不思議な感覚から唯さんのおかげで抜け出した気がした。
ただ、現実を受け止めようとすると辛くなってきた。
私の何がダメだったのか。
相手の女性と結婚するということは、私は結婚相手に相応しくなかった…ということなんだろうか。
どんどん気持ちが落ちて落ちてどん底まで落ちていきそうな感覚に陥る。
私の一年上の先輩であり親友の伊藤唯が突拍子のない声を上げた。
会社の更衣室で彼氏に振られたらしいという事を伝えた。定時を1時間以上も過ぎているため、私達の他に人はいない。
「お昼休みに話したいことがあるって呼び出されたのって、それ?」
唯さんの表情と口調がキツくなった。
私はコクリと頷いた。
「気づかなかったんです。浮気されてたって。ていうか、私が浮気相手だって。」
自分でも驚くほど淡々と話せている。他人事のような感覚だった。
「仕事中、キツかったでしょ」
唯さんが優しく私の背中をなでる。その手がとても温かくて、まるで私に生気を吹き込んでくれているようだった。
遠田の事もあのおしぼりの男性の事も、頭の片隅に追いやり目の前の仕事に没頭した。
「美月は何も悪くないんだから。だからそんな最低な男の事は忘れよう」
私の背中をさする唯さんの手に力がこもる。
「はい」
唯さんの手から温もりが私のヒンヤリとした心を溶かしていくように、私の目頭が熱くなる。
先程まで他人事のように感じていた昼間の出来事が、ようやく自分の身に起きたことなんだと現実に引き戻してくれているような。つらい、けど優しい温もり。
「ありがとうございます」
鼻がツーンとしてきた。涙と鼻水が出そうになるのをギュッと目頭に力を入れてこらえる。
唯さんは労わるような、それでいて私の代わりに怒ってくれてるようなそんな目で私を見ている。
「唯さんが彼氏だったらよかったのに」
そう言って思わず笑った。
「だよね、私は優しいもん」
唯さんも優しく笑う。
人に話を聞いてもらうと心が軽くなるとはよく言ったもので。
私はお昼に振られてからもそれを現実として受け止められなかったようだ。
だから、唯さんに淡々と話すことができた。
でも、振られたことは現実で。
そんな不思議な感覚から唯さんのおかげで抜け出した気がした。
ただ、現実を受け止めようとすると辛くなってきた。
私の何がダメだったのか。
相手の女性と結婚するということは、私は結婚相手に相応しくなかった…ということなんだろうか。
どんどん気持ちが落ちて落ちてどん底まで落ちていきそうな感覚に陥る。