最低なのに恋をした
朝の秘密
『佐田コーポレーションに刃物男』のニュースはとても小さく扱われた。
怪我人がいなかったことが大きい。
ただ、社内では面白おかしく噂をされていると秘書課の先輩唯さんから聞いていた。
「美月、大変だね」
お昼休憩の時のこと。
私は久しぶりに唯さんと社員食堂で食べていた。
「事件のことですか?」
カルボナーラをフォークで巻き取りながら唯さんを見る。
唯さんは私の方に前屈みになり小声になる。
「まぁそう。専務のこと」
「ああ、まぁ」
曖昧に答えカルボナーラを口まで運ぶ。
刃物男が「女を専務に取られた」と叫んだ事は一階ロビーにいた社員は聞いており、その噂が瞬く間に広がったり。
箝口令をしいているため、社外の人物に話すことやSNSで呟くことも禁止しているが、社内での噂を止める事は出来なかった。
専務は顔がいい。社内の多くの若い女性も専務の事を狙っていたらしい。
それが、女性関係でのトラブルが勃発。遊び人、チャラい、などなど女性関係の良くない噂が飛び交うこととなった。
結果社内人気、下落。
まぁこれは、見た目でアレコレ王子的なイメージを勝手に持たれていただけで、本性がバレたというだけなのだけど。
問題は別のところだ。その噂は、上層部にもそ入っており専務を引きずりおろすネタにしようとしている者がいると室長から聞いたばかりだ。
「事件以降、美月が基本同行してるでしょ。監視?」
「監視、というわけではないですけど。専務の安全確保ですかね」
秘書課の先輩とはいえ、詳しくは言えない。
室長からの指示で外出にも同行しているが、SPの役割を期待されているわけではない。
私は専務に女性絡みのトラブルが起こらないように…見ている…監視か。
とはいえ、専務自身でも言っていたが女性の影はない。
言い寄られはするが、今回の事件があってからキッパリハッキリお断りをしているのを目にしている。
「心に決めた人がいるんです」
そう言ってお断りしているのを目の前で見ている。嘘も方便。
これまでの専務はのらりくらりかわしていた。
取引先関係者も多いから、のらりくらりでも仕方がなかったが、今回のような事件が起きらないとも限らない。
「役員内でも針の筵って聞いたよ」
唯さんは蕎麦を啜りながら小声で言う。
「はい。これまでの女性関係を調べようとしているみたいですね。でもまぁ、出ないと思いますけど」
私も小声で告げ、コップに注がれたお茶を飲み干す。
「出ないの?」
唯さんは意外な顔をする。
「なんとなく」
私は曖昧に答える。
調べたとしても当の本人が覚えていない限り、認めないだろう。
本当に最低男だった。
唯さんの専務の話を曖昧にかわしながら、カルボナーラを食べ切った。
怪我人がいなかったことが大きい。
ただ、社内では面白おかしく噂をされていると秘書課の先輩唯さんから聞いていた。
「美月、大変だね」
お昼休憩の時のこと。
私は久しぶりに唯さんと社員食堂で食べていた。
「事件のことですか?」
カルボナーラをフォークで巻き取りながら唯さんを見る。
唯さんは私の方に前屈みになり小声になる。
「まぁそう。専務のこと」
「ああ、まぁ」
曖昧に答えカルボナーラを口まで運ぶ。
刃物男が「女を専務に取られた」と叫んだ事は一階ロビーにいた社員は聞いており、その噂が瞬く間に広がったり。
箝口令をしいているため、社外の人物に話すことやSNSで呟くことも禁止しているが、社内での噂を止める事は出来なかった。
専務は顔がいい。社内の多くの若い女性も専務の事を狙っていたらしい。
それが、女性関係でのトラブルが勃発。遊び人、チャラい、などなど女性関係の良くない噂が飛び交うこととなった。
結果社内人気、下落。
まぁこれは、見た目でアレコレ王子的なイメージを勝手に持たれていただけで、本性がバレたというだけなのだけど。
問題は別のところだ。その噂は、上層部にもそ入っており専務を引きずりおろすネタにしようとしている者がいると室長から聞いたばかりだ。
「事件以降、美月が基本同行してるでしょ。監視?」
「監視、というわけではないですけど。専務の安全確保ですかね」
秘書課の先輩とはいえ、詳しくは言えない。
室長からの指示で外出にも同行しているが、SPの役割を期待されているわけではない。
私は専務に女性絡みのトラブルが起こらないように…見ている…監視か。
とはいえ、専務自身でも言っていたが女性の影はない。
言い寄られはするが、今回の事件があってからキッパリハッキリお断りをしているのを目にしている。
「心に決めた人がいるんです」
そう言ってお断りしているのを目の前で見ている。嘘も方便。
これまでの専務はのらりくらりかわしていた。
取引先関係者も多いから、のらりくらりでも仕方がなかったが、今回のような事件が起きらないとも限らない。
「役員内でも針の筵って聞いたよ」
唯さんは蕎麦を啜りながら小声で言う。
「はい。これまでの女性関係を調べようとしているみたいですね。でもまぁ、出ないと思いますけど」
私も小声で告げ、コップに注がれたお茶を飲み干す。
「出ないの?」
唯さんは意外な顔をする。
「なんとなく」
私は曖昧に答える。
調べたとしても当の本人が覚えていない限り、認めないだろう。
本当に最低男だった。
唯さんの専務の話を曖昧にかわしながら、カルボナーラを食べ切った。