天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

高校までオシャレなど無縁だった私は、東京に来て必死にメイクや服装を覚えたものだ。
今ではなんとか見た目だけは繕っているが、この人の多さは別だ。
背中までのブラウンの髪は、今朝きれいに巻いていたが、満員電車で潰され降りた時にはグチャグチャになっていた。

周りの女の子たちはどうやってあんな完璧にいつも保っているのだろう。そんなことを思いつつ、手櫛でなんとか髪を整える。

今日は小さいころからの幼馴染で、親友でもある松原舞子と約束ができた。
「佐知こっち、こっち」

定番の駅前の時計の前で待ち合わせをしていた私は、呼ばれた声にキョロキョロと周りを見渡した。
耳下のボブヘアに大ぶりのピアスがきらりと光る舞子はとてもきれいな女性だ。
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