天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
連れてきてくれたのは、閑静な住宅街にある一見の趣のある大きな一軒家だった。
「ここですか?」
「ああ、行こう」
大きな門を潜り、ドアを開けると落ち着いた色合いで統一されたインテリアが目に入る。
クラシックで素敵なお宅に、私はキョロキョロしてしまう。
「お待ちしておりました。和泉様」
にこやかな笑みで迎えてくれた男性に、私も頭を下げれば廊下を抜けすぐにまた外へと案内をされる。
そこは離れになっていて、隠れ家のような雰囲気だった。モダンな造りと、庭には美しい緑が見える。
「素敵」
私のたかが捻挫の快気祝いに、こんな素敵なところに連れてきてもらい本当に申し訳ない。
そう思っていると、龍一郎さんは慣れた手つきでワインを選び、こんな高級な場所がとても板についている。ハイスペックで、大企業の御曹司。本来私などお付き合いできるような相手ではない事に改めて気づく。