天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「言っただろ? 俺は自分の血が不安だって。あんな最低な冷徹な父親の血が流れいてる。佐知を傷つけたらどうしよう、佐知が離れて行ったらどうしよう。いつも不安だ」
揺れている龍一郎さんの瞳に、私はキュッと唇を噛んだ後、持っていたフォークを置き龍一郎さんの手を握りしめる。

「龍一郎さんは、冷たくなんかありません。とっても優しいです」
なんとかそんなお父様の血なんて気にしてほしくない。今のままの彼がいい。そう伝えたくて必死に言葉を伝えた。

「ありがとう。俺には佐知しかいない。父親が何て言おうが絶対に俺が佐知を守るから」
その言葉に私は嬉しくて何度も頷いた。

「だから」
そこで言葉を止めて、龍一郎さんは少し困ったような表情を浮かべた。

「龍一郎さん?」
< 158 / 191 >

この作品をシェア

pagetop