天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「食べ終わってからにしようと思ったんだけど……」
珍しく言葉を濁しつつ、龍一郎さんは小さく息を吐くと内ポケットから箱を取り出す。
それはブラックの有名ブランドの箱で、一見して何かわかってしまった。
私の目の前で箱を開けると、そこにはかなり大きなダイアモンドと小さなブルーの石がはめ込まれたリングが光っていた。
「遠回りしたけど、俺と結婚しよう」
その言葉が甘く私に浸透していく。始まりはあんな形だったが、今は心からこの人が愛しいし、愛でいっぱいにしてあげたい。
「はい。私でよろしければ」
笑顔で答えれば安堵の表情を浮かべたあと、龍一郎さんはその指輪を私の左の薬指にはめてくれる。
「ぴったり。ありがとうございます」
嬉しくてずっと見ている私に、彼も優しく微笑みながらそんな私を見ていた。