天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「佐知の初めてを、記憶の無いものにするわけないだろ?」
龍一郎さんの言葉に私は驚いてしまう。初めてということを私はいつ言ったのだろうか? まさか初めての夜そんなことまでこの人に言っていたなんて私はなんて馬鹿なのだろう。

しかし、それを考えてずっと我慢をしていてくれた事実が本当に嬉しかった。

「きちんと覚えていて欲しいから。だから、今日はアルコールは少しにした」
確かに乾杯をした以外、お酒は飲まなかった。

それがまさか私を酔わせないためだったとは考えてもみなかった。
しかし、素面の私は羞恥でどうしていいかわからない。酔っていれば大胆になれるが、経験値の少ない私はどうしたらいいのだろう。

急に不安が襲ってきて、私は龍一郎さんから視線を外す。

「あの、シャワーを」
つい言い訳のように言った私にそれをさせまいと、龍一郎さんは首筋に唇を寄せると官能的に舐めあげた。
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