天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「あっ……」
つい声が出てしまい、私は手で口元を押えた。
「必要ない」
「でも……。私、酔ってないからどうしていいわからなくて」
そのまま手で顔を覆って正直に言えば、龍一郎さんが私の上で大きく息を吐くのがわかった。
「悪い……」
今までとは違う柔らかな声と同時に、そっと龍一郎庵は私の手を取りキスをした。
「俺も余裕がなかった。ごめん。怖がらせたよな」
愛しそうに私の手に頬を寄せながら、ジッと私の瞳をみて龍一郎さんは心配そうに言った。
「大丈夫です。ただ恥ずかしかっただけで……。それに何をしたら龍一郎さんは喜ぶのかなって……」
別にいやらしい意味で言ったわけではなかったのだが、急に彼の頬が赤くなる。