天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
動き出す時間
ゆっくりと目を開けると、目の前には大好きな寝顔があり、私はそっと頬にキスをする。
ようやく、本当に夫婦になれた喜びが湧き出てくる。少し遠回りしたが、これからは二人で幸せになるために一緒に歩んでいこうと心に決めながら、安心したように眠る龍一郎さんを見つめていた。
こうして私と一緒に居ることで、幸せを感じてくれたら私も嬉しいそう思った。
そんなことを思っていると、不意にパチッと龍一郎さんが目を開けた。
「おはよう」
その言葉と一緒に、私はまた抱きすくめられる。
素肌で抱き合うことはやはり恥ずかしくて、私はそれを隠すように龍一郎さんの胸に頬を寄せて顔を隠した。
しかし、それは龍一郎さんをその気にさせただけだと知ったのは、そのすぐ後だった。
すっかり遅くなり、遅めの朝食を取った後、二人で買い物にでも行こうと外出をすることにした。
「天気もいいし、徒歩でいきませんか?」
私のそんな提案に、龍一郎さんも同意してくれ、私たちは手をつないで歩いていた。