天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「龍一郎さん……」
私が龍一郎さんに気持ちを持っていたころから、彼も私を思っていてくれたことに嬉しさが募る。

ずっと契約だからと思っていたことが、お互いを思っていたのだとわかったのだ。

「私もあの頃からずっと龍一郎さんのこと思ってましたよ」

恥ずかしいがこれはきちんと伝えるべきだと、私も呟くように言って手を握り返した。

「佐知……。やばい今すぐ家に連れて帰りたい」
さっきも抱き合ったばかりなのに、そんな気持ちで慌てる私をよそに、一気に色気を含んだ龍一郎さんに狼狽していると、後ろから冷ややかな声が聞こえた。

「龍一郎様」
私たちの甘い空気を壊すように言われたそのセリフに、バッと振り返った。
龍一郎さんを見れば、今までとは全く違う怖い顔をしている。
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