天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
一枚板だろう、大きなテーブルに4つの座椅子が置かれていた。
「もうすぐお付きになります。座ってお待ちください」
元永さんに言われ、私は落ち着かない気持ちで龍一郎さんを見れば表情無く椅子に座る。
「佐知も座って」
その声はいつもの龍一郎さんで、私も落ち着きを取り戻し隣に座った。
「龍一郎さん、どんなことを言われても、私はあなたの味方です」
そっと彼の手に自分の手を重ねてそう言えば、驚いたように龍一郎さんが私を見た。
「そうだな。ありがとう大丈夫だ」
今、この場所にどういう感情でいるかは、私なんかでは推し量れない。
お母様の苦労をずっと見てきた龍一郎さんにすれば、きっといくら実の父親と言えど許せないだろう。
ましてや一度も会いにも来なかった人だ。その人と初めて会うとなれば、私だったら怖くて恐ろしい。
それでもこうして私との未来のために、この場に来てくれたことに感謝しかない。