天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
そっと、龍一郎さんが母に聞こえないぐらいの距離で私に囁やく。
「佐知、愛してる」
せっかくすました表情を作っていた私だったが、きっと顔は真っ赤だろう。
そんな私を楽しそうに見つめる龍一郎さんはやっぱりイジワルだ。
「イジワル。でも私も愛してる」
お返しのように言えば、今度は龍一郎さんが驚いて私を見る。
ふたりで顔を見合わせて笑いあった後、龍一郎さんと部屋を出て廊下をゆっくりと歩き出した。
これからも二人で歩いて行く。どんな困難があったとしても。
愛する人の隣で。
END