天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
眩しい光が差し込んでいることから、とてもいい天気だということがわかる。
本来ならば、これから美味しいコーヒーを飲みたいところだ。
しかし、目の前には氷のような瞳の冷徹上司が、私を射抜くように見ていてそんな状況でないのは一番自分がわかっている。しかし現実逃避ぐらいしたくなってしまう。
静まり返った部屋でどうしようかと思案すれば、思いがけない言葉が浴びせされた。
「今日から夫婦だ。ただし条件がある」
全く意味のわからない言葉と、起きぬけで頭の回らない私はきっとすごい表情をしているはずだ。
呆然とする私をよそに、その人は言葉を続けた。
「俺のことは詮索するな」
条件などなくても結婚なんてしなくていいし、あなたを詮索などしたくない。そうは思うも、私の中でうっすらと昨日の記憶が蘇り冷や汗が零れ落ちた。