天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

まったく意味が解らないまま始まった結婚生活だが、確かにあのままだと仕事もやめて実家に帰れと言われたはずだ。私はまだ東京にいたいし、実家に帰ってお見合いをするなんてまっぴらだった。

両親の持ってくる見合い話は、かなり年上の人ばかりだし、それを考えれば私なんかにはむしろもったいない旦那様ができたのだ。
そう自分に言い聞かせてなんとかこの生活を受け入れようとしていた私だったが、意外にも龍一郎さんとの時間は快適なものだと、一緒に住み始めて二週間で気づいた。

それがなぜかと言えば、龍一郎さんは男の人にしておくのはもったいないぐらい、一人でなんでもできる人だった。

特に結婚をしたからと言って私がすることもないし、今まで通り好きな本を読んだりして過ごせている。

いや、むしろご飯まで作ってくれるし、得をしているのは私かもしれない。
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