天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「え! 本当ですか。あっ、でも今はまったくそんなこと思っていません。ごめんなさい」
狼狽しつつも素直に謝れば、龍一郎さんはチラリと私に視線を向けポンと私の頭に触れた。
「別に謝ることないよ。佐知はそのままでいい」
どういうこと?
言われた意味が解らなかったが、ちょうど会社の近くについてしまい車が停車したことに気づく。
一瞬垣間見た龍一郎さんに、私はもう少し話をしたかったがすでにいつもの〝部長”の顔をしていた。
「じゃあ、また後で」
「はい。ありがとうございました」
私は諦めると車を降りると、会社へと向かった。