天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
そして、龍一郎さんのストックのケールのシーザーサラダと人参の和え物をダイニングテーブルに並べた。
着替え終わって戻ってきた龍一郎さんは、テーブルに並んだ料理を眺めていた。
やはりいつも食べているようなおしゃれな料理じゃなくて驚いているのだろうか、そう思い慌てて口を開く。
「あの、おしゃれな物が出来なくて、私の昔から食べてる味なんですけど」
言い訳のように言葉を並べた私だったが、優しい瞳に見つめられて私が不安に思っているようなことではないことに気づく。
なんとなくだが、龍一郎さんは温かい家庭で育ってきた人ではないのだろう。
「食べてくれますか?」
「もちろん」
会社とは別人といってもいいほど、穏やかな彼の表情に安堵しつつ、私は鶏飯も出すと夕食を始めた。