天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

自己完結をしたところで目の前の冷徹上司、いや和泉部長が私に視線を向ける。
「はい! なんでしょうか」
まだ何も言われていないのに、口を開いてしまって私はウッと口ごもる。
やってしまった。
なぜかこの真っすぐな瞳に射抜かれると、背筋がピシッとしてしまう。

「この間の営業部のセクハラの件。男性側が認めたから」

「え? はい」
そんな私のことなどまるで構うことなく、部長は淡々と説明すると私に資料を手渡す。

「あとよろしく。できるな?」
少し威圧的にも取れるその態度に内心ため息を付きつつ、それを受け取ると視線を落とした。
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