天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「なにか怒ってますか? 私何かしました?」
はしゃぎすぎたのか、はたまた何か悪いことを言ってしまったのかと私はじっと龍一郎さんの顔を見つめる。
「違う、悪い」
クシャりと自分の髪をかきあげると、龍一郎さんは小さく息をはいた。
「じゃあなに?」
もはや敬語を忘れ、私は龍一郎さんに問い詰める。少しずつ感情がわかってきたとはいえ、これはまったくわからない。
せっかくの楽しい休日を、こんなスタートにしたくなかった。
「誰と来たのか気になっていた」
「は?」
ついバカみたいな言葉が零れ落ちた。まさかそんなことをこの完璧な人が気にしているなど、少しも思っていなかった。