天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
Side 龍一郎

意識を失うように眠りについた佐知の顔を見て、俺は後悔に苛まれていた。
なんてことをしてしまったのだろう。最後まで抱かずに耐えた自分は褒めてやりたいが、ここまでする気などまったくなかった。

自制心の塊だと思っていた俺だったが、簡単に佐知は俺のその枷を外してしまう。
まず、初めがいけなかった。温泉上がりの浴衣姿で、他の男に絡まれている佐知を見たとき、一気に

芽生えた俺の物に何をしているんだという感情。

上気した頬、色気の漂うその姿。さっきの男達からの嫉妬から、水を飲ますという言い訳に、強引にキスを仕掛けた。それでも最低なのに、あろうことかまた酔った佐知の誘惑に負けてしまった。

佐知は酔えば記憶がないのに。

それがわかっていたからこそ、キスをして触れて乱れる佐知を見たくて。
こんなずるくて、最低な自分がいることなど知らなかった。これが血なのか……。

そんな気さえして、自己嫌悪に落ちていく。
それでも佐知と離れる気になれず、すやすや眠る佐知の寝顔をずっと見つめながら、昨日のことを思い出していた。
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