天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
『そう伝えてください』
それだけを言って、俺は表情無くスマホの電源を切った。
『龍一郎様! 待ってください!』
向こうから聞こえる悲痛な声にも、俺は耳を傾けなかった。この弁護士の元永さんに罪はないが今更だ。
結婚したと報告をしたところ、その女と別れれば会社の相続や、遺産分与にいれてもいいと言ってきたのだ。
この間の見合い相手との政略結婚を勧めたいのだろう。
バカらしい。
心底その言葉しかなかった。資産運用もしてきたし、今まで俺にかかった費用を全額かえしてでも縁を切りたい。すべてを金で物を言わせられると思っていることに嫌気がさす。
こんな父親の血が流れているなんて。