天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
そんな電話を思い出していた俺だったが、柔らかな声で我に帰る。
『ねえ、龍一郎さん。アイス食べませんか?』
『ああ』
無意識に答えれば、佐知は嬉しそうに二つのアイスリームを持って戻って来ると、ソファに座っていた俺の隣に腰かけた。
『どっちがいいですか?』
その問いに俺は特に何も考えずに一つを受け取ると二人で食べ始めた。
今日は金曜日、最近祥吾のことでいろいろと休日返上で動いていた俺だったが、明日明後日とは連休だ。
というより少し前から、必ず今週は休むと決めていた。
佐知は覚えていないが、結婚したら温泉に行きたいと言っていたことを実現させるためだ。