天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

予約をした当初は、契約の為に行くつもりだったが、今は俺も佐知との旅行が楽しみで仕方がない。

今日の電話にしても、絶対に佐知とは別れる訳がないだろうと思った自分に驚いた。
そう、俺は確実に佐知に惹かれている。しかし、最悪の血が流れている俺みたいな人間と結婚すべきではない。

あの日書いた婚姻届は、出さずに引き出しの中にしまってあるのは佐知には秘密だ。

もちろんその理由は佐知の戸籍にバツなどつけないためだ。

いつか、佐知の実家、そして俺の父の問題が片付けばきちんと佐知を自由にする。
その覚悟はできている。でもそれまでは少しぐらい俺にだって温かい時間があっても罰は当たらないよな?

そんな思いを込めて、俺の隣でアイスクリームを食べる佐知を見れば、真ん丸の瞳で俺を見る。
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