天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
すぐ帰れと言われたものの、意外にも調べものに手こずってしまい、気づけば二十時を過ぎていた。
ひとりで美味しいものを食べると言ったものの、まだ今日は週が始まったばかりの月曜日で、そんな気にもなれない。会社を出て何かを買っていこうと思うも、デパ地下ももう閉まっている時間だ。
地下街ならばどこかやっているかも知れない。考え事をしながら地下道へと続く階段を降りていると、ドンと後ろから衝撃が襲う。誰かのカバンが当たったと分かったが、もう遅かった。
落ちる!
咄嗟にそう思い手すりに手を伸ばすも、高いヒールを履いていた私はそのまま下へと足を滑らせた。
「大丈夫ですか!」
すぐに聞こえた声にも、足首の痛みですぐに声がでない。
目の前には一人男性がいて、スマホを取り出すのが見えた。
「すぐに救急車を!」
その言葉に私は慌ててそれを阻止する。頭も打ってはいないしそれは大げさだ。