天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「大丈夫です!」
「でも、頭を打っていたら……」
「打ってないです」
その言葉に彼はホッと安堵したようで、私の足首にそっと触れた。
「痛っ」
ただ見るために触れただけだが痛みが走り、私は顔をしかめつつ、今日はパンツスーツでよかった。そんなことを思うもズキズキと足首は痛む。
「レントゲンを撮らないとわからないな」
目の前の彼は呟くように言いながらも、自分のハンカチを出すと私の足首を慣れた手つきで固定する。
「冷やした方がいいけど、あいにく何もないのでとりあえず病院まで連れて行かせてください。僕が急いだせいでこんなことに」
彼だけが悪いわけではないが、確かにこのまま一人で電車に乗れる気もしないので、ここは素直にお願いするしかなさそうだった。