天の川のうさぎ、お星様とキスをする
 そして、またアンドロメダ号の轟音をひびかせて、去って行きました。
 わたくしの手には、火打ち石の入った巾着がしっかりと握らされています。

 その音が遠く、遠くなるのに耳を傾けている内に、ようやくわたくしは我にかえりました。

「お、御星さま、申し訳ありません! わたくし、まだ仕事の途中なのでございます!!」
「もう十分にあかるいよ。今日は半休になさい」
「ですが、大事な七夕に、こんな暗い天の川では、御星さまの名誉にかかわりま――」

 言葉半ばで、口を御星さまの人差し指で塞がれました。
 わたくしは訳がわからずに、首をかしげて整ったお顔を見上げるばかり。

 御星さまは、目じりをほんの少し朱に染めて、なんだか見ている方までとろけそうな笑顔を浮かべられました。

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