天の川のうさぎ、お星様とキスをする
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 ご周知の通り、星は自ら燃えますが、その火は自ずと点くものではございません。
 わたくしのような火付け役が、硬い火打ち石を打って火花を散らし、星の尖った先に点けて回るのです。

 よく夜空を見上げていると、星明かりがちらちら揺らいだり、先程まで見ていた星が消えますでしょう。
 星の火はよく消えますから、そのためにわたくしたちがおります。

 しかし、いま、ナナオは絶体絶命です。
 御星さまから給わった、大事な大事な火打ち石を失くしてしまったのです。

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