ご主人様だけに一途
「あきと君……
来てくれて……ありがとう……」
「あっ……うっ、うん……」
「お互い…制服を着てないから……
変な感じがするね……」
「……そうだね」
葉音ちゃんの声は、たどたどしい。
そんな葉音ちゃんの心を
軽くできる魔法が使えない僕は
相づちを打つのが、精いっぱい。
もうすぐ、
葉音ちゃんのお父さんと、ご対面だよね?
どうしよう……
葉音ちゃんの彼氏役として、
きちんと振る舞えるかな?
「お父さん、すぐ帰るって言いながら
会社に行っちゃって……
今、家に誰もいないんだけど……」
葉音ちゃんのお父さん、いないんだ。
はぁぁぁ。
なんか、安心した。